御徒町周辺には、昔からインド料理屋が多い。

前にも書いたが、
宝石関係に従事するインド人が多いからだと思う。

ほかの地域のことはわからないが、
今もこの地域ではインド料理屋の数は確実に増えている。

多分、インド料理屋の密度は高いと思う。

そんなわけで、
私も昼食にインド料理屋に行くことは多い。

インド料理屋の店員は、大体フレンドリーで
居心地は悪くないし、私は辛い物は好きだ。

ただし、量が食べられない。

ところが大抵のインド料理屋では、
大きなナンや大量のライスが付いてくる。

しかもおかわりし放題。

食べたいだけ食べてくださいという親切なのだろうが、
私には出されたナン1枚を食べるのが精一杯である。

たまに残す。

それでも腹が膨れすぎで店を出ることになるのだが、
カレーは大好きなので、
数日たつとそんなことは忘れてまたインド料理屋に行く。



昭和通りを御徒町から秋葉原の方向に行ったところに、
スルターンというインド料理屋がある。

「スルターン」という店は、ほかにもある。

「スルタン」も合わせると、
インド料理の中で一番多い名前なのではないかと思われる。

スルターンはイスラム国家の王様のことなので
この名前が多いのもうなずける。

インドというより、パキスタンな感じがするが…。

経営者が同じなのかもしれないが、
前にも書いたように、インド料理屋の店員は
日本語があまり得意でない人が多く、
詳しい話がきけないため想像するしかない。

そのスルターンに、ランチタイムが終わった3時頃、
私はカレーを注文した。

客は私一人。

元々それほど流行っている店ではない。

すると一人のインド人が近づいてくる。

「チョットいいデスカ。」
コックの格好はしていない。

店の関係者のようだ。

手にチラシを持っている。

「コレ、なんてかいてアル?」
とニコニコしながらチラシを私に差し出した。

見ると、どうやらこの店が入っているビルに
深夜侵入者がいたようだ。

かなり前のことで、詳しくは覚えていないが
外階段で寝ている人がいたとかそんな話だったと思う。

それに対して、
注意を喚起するビルのオーナーからの通知だった。

またしても難問である。

なんとかしてジェスチャーを含め
このことをインド人に言ったが、あまり伝わらないようだ。

ただ、彼の心配はそのチラシが何かの抗議であったり、
書面を書いたり法的な業務が必要でないという事だけはわかったらしい。

最終的には彼も「OK,わかった。サンキュー。」と言ってくれた。

「ふう。やっとわかってくれたか。」
と食べかけたナンに手を伸ばすと
彼はフレンドリーな笑みを浮かべてこう言った。

「ナン、いくらでもおかわりシテ。」

だから、1枚食べるのもやっとだっちゅーの。